雷から身を守る方法

「大気の状態が不安定です」・・・ この時期の天気予報でよく耳にする言葉です。

 

不安定な大気は、大雨や雹、落雷、突風などさまざまな天気の急変をもたらします。今回はその中でも、「雷」の危険性と対処方法についてみていきましょう。

 

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雷の危険性

 

雷とは、大気中で氷の粒同士がぶつかって発生する静電気が放電される現象です。この放電で、特に雲と地上との間で発生するものを対地放電と呼び、これがいわゆる落雷ー雷が落ちるという現象です。

 

落ちた雷が私たちの体に到達し、被害を及ぼすには幾つかの経路が考えられます。大気中から直接人体等に落ちる「直撃雷」や、建物や木に落ちた雷が近くにいる人に飛び伝わる「側撃雷」、また地面の表面を伝ってきたり、電話線や電線と繋がった電話や電気機器などから伝わるケースもあります。

 

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直撃雷を受けた木

 

野外で雷に遭遇したら…

 

野外で雷に遭遇した場合、まず自分の置かれている状況を把握し、次の行動を決めましょう。その際に、以下の選択肢を検討してみてください。

 

1:建物内に避難する

 

野外で雷に遭遇した場合、建物内に避難することが最も安全だと言われています。近くに避難できる建物がある場合は、迷わず建物内に入りましょう。この際、軒下での避難は側撃雷を受ける危険性があるので、必ず屋内に入るようにしてください。

 

また建物内に入っても油断せず、以下の点に注意しましょう。

  • 壁から1m以上離れ、なるべく部屋の中央付近に避難する
  • 蛇口などの金属や、電話線と繋がった電話など電流が伝わりやすいものには触れないようにする

 

2:車の中へ避難する

 

近くに避難できる建物が無い場合、車の中は比較的安全な場所と言えます。ただし車内にいても金属部分に触れていたり、寄りかかっていると、そこから感電する可能性があります。車の窓は締め、金属部分に触れずに、なるべく車の中心部にいるようにしましょう。

 

3:できるだけ危険を減らす

 

周囲に避難できる建物も車も無い場合でも、雷に打たれる危険を減らす行動をとることはできます。次の章では、その方法をご紹介します。

 

避難場所が無いーそんな時は…

 

雷が鳴っているのに、周りには避難できる建物も車も無い。そんな時でも後述のようにできるだけ危険を減らす行動をとりましょう。

 

危険な場所と注意する持ち物

まずは自分のいる状況を把握するため、どんな場所にどんな危険があるか、また注意すべき身の回りのものをご紹介します。

 

危険な場所

その1:キャンプ場や海、尾根などの広く開けた場所

雷は高いところに落ちるので、自分の体が周囲で飛び出している場合は直撃雷を受ける危険があります。

 

その2:立ち木のそば(林の中も含む)

雷は高い場所に落ち、電気は流れやすい方に流れます。木に雷が落ちた場合、そばに人間がいれば側撃雷として、より電気の流れやすい人間の方へ流れる可能性があります。

 

その3:背の高い構造物のそば

立ち木の場合と同様に、側撃雷を受ける可能性があります。

 

注意する身の周りの品

自分の背丈以上に飛び出したもの(傘、釣竿、ゴルフクラブ、カメラの三脚、トレッキングポール、テントポール、ピッケルなど)があると、それが避雷針の役割を果たし、雷を誘引してしまいます。折りたたんで手放すか、背丈よりも低い位置に持ち替えましょう。

 

また雨が降っていれば、テントの中やタープの下に逃げたくなりますが、これらも周囲から飛び出していれば同様に危険です。

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危険を減らすために

 

危険な場所を見てきましたが、野外にいる場合、特にキャンプをしている場合には、大抵こういった場所にいることが多いと思います。そんな時は、比較的安全な「保護範囲」という概念を覚えておくとよいでしょう。

 

保護範囲

5m〜30mの背の高い構造物(電柱、煙突、鉄塔、建築物など)のてっぺんを、a) 45°以上の角度で見上げる範囲、かつb)その構造物から4m以上離れた場所が保護範囲と呼ばれ、周囲に避難できる建物や車が無い場合の、比較的安全な退避場所とされています。

 

保護範囲

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なお立ち木の場合、木の幹ではなく、枝先を含めて4m以上離れることに留意してください。また、5m以下の立ち木の場合は、保護範囲は無いことにも注意が必要です。

 

周囲に避難可能な建物や車がない場合は、この保護範囲を探して退避してください。

 

雷しゃがみ

保護範囲に避難した後、または保護範囲が見つからず、危険な場所で雷をやり過ごさざるを得ない場合でも、雷しゃがみと呼ばれる姿勢で、雷雨が通り過ぎるのを待ちましょう。

 

なお、開けた山頂や尾根、稜線、岩場にいることは、非常に危険です。その場所から速やかに離れ、地形的に比較的安全な谷間や窪地、また斜面のハイマツ帯に避難したうえで、この雷しゃがみをしてやり過ごしてください。

 

雷しゃがみ

雷しゃがみ

 

雷しゃがみのコツ

① できるだけ頭を下にかがめ、姿勢を低くします。

② 落雷時に鼓膜を守るため、両手で耳を塞ぎます。

③ かかとを地面から浮かせてつま先で体重を支え、

④ 浮かせたかかと同士をくっつけます。

 

雷は高いところに落ちます。従い、①のように、なるべく低い姿勢で直撃雷や側撃雷を避けましょう。また近くに落雷した場合は、電流が地面を伝って体に入ってくる可能性があります。③の姿勢で地面との接地面が少なくし、体に侵入してくる電流を最小限に抑えるましょう。④は、つま先から侵入した電流を、もう片方の足から地面へ流し、上半身には流さないようにするための姿勢です。

 

低い姿勢をとることが基本ではありますが、地面を伝わってくる電流も考慮して、お尻をつけて座ったり寝転がったりするのは避けたほうが良いでしょう。

 

最後に

 

雷が光ってから音が聞こえるまでの時差で、雷までの距離を測ることがあると思います。しかし、その時差が長いからと言って安全とは限りません。雷は10km以上の距離を一瞬で走ることもあります。遠くても音が聞こえた場合、次の雷が自分のいる場所に落雷する可能性が十分あることを知っておきましょう。

 

また雷がおさまった後も同様です。音が聞こえている間は、油断せず身の安全を確保してください。

 

 

参考文献

急な大雨や雷・竜巻から身を守るために:気象庁

雷から命を守るための心得:日本大気電気学会

小林文明.コラム第5回 雷から身を守るために.2012/11/29 .NHKそなえる防災

横山茂.連載 実践的な人体への落雷防護方法.第1回落雷事故の統計と事故のメカニズム 

    第2回雷から身を守るための注意点 日本電気設備学会誌 28巻8号 2008/8